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きのこ百姓  増島農園
Masujima Farm

後編 「百姓品質」を受け継ぐ、キノコ職人のDNA。

“Hyakusyo” Quality

前編  一夜で溶けゆく。潔くもはかないキノコ、コプリーヌ。

エリンギではなく「白あわび茸」を貫く。


代々続く増島農園が、イチゴ農家からキノコの施設栽培へと舵を切ったのは、健太郎さんの父であり先代の
正昭さんの代のことだ。今では増島農園の稼ぎ頭でエリンギとして知られる、当時はまだ珍しかった
白あわび茸の栽培を、いち早く手がけたのも先代だ。

取引先から「エリンギとはまるで別もの」とまで言わしめる増島農園の白あわび茸の味と食感は、増収剤
などを使用せず、地元の杉の間伐材を天日干しし、蒸気殺菌したおがくずの培地でじっくり時間をかける
栽培法によるものだ。

今でも頑に「白あわび茸」という名称にこだわる理由がそこにある。

White Awabi Mushroom

They produce special Eringi Mushroom.
They call it “White Awabi Mushroom”, which is popular as “Eringi”.
Also, awabi Mushroom is one of the best kind of mushrooms.

The white awabi mushroom has rich taste, because it was grown naturally,
taking time, on a bed of forest timber from thinnings of local cedar trees.
Not many, but high quality and tasty mushroom is grown here.

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きのこを手でひとつずつ、選別してゆく。

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健太郎さんの母、増島永子さんも現役だ。手作業で優しく白あわび茸をつめてゆく。

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おがくずはキノコの収穫後、粉砕して近所の畑に分ける。よい肥料になるそう。

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役目を終えたボトルから、おがくずをかき出す。おがくずは、地元の畑や牧場の土へと還る。

五感をフル稼働して、キノコと対峙する。


扉を空けるとモワッと独特の匂いがたちこめる「培養室」。種植えしたボトルが整然と並ぶ。
その一本一本を目視し、キャッを外して「酸っぱい臭い」を嗅ぎ分け雑菌の有無を判断し、種菌になる
ボトルを選別する。菌糸が成長しキノコとしての発芽を待つ「芽出し室」では、雑菌が入り込まないよう、
壁の消毒も安全な食品添加物で行っている。のしすぎもいけない。
消毒剤が培地に吸収され栄養となり、かえって雑菌が繁殖してしまう。外気温を鑑みながら、湿度・温度
ともに微調し、キノコにとって最適な環境を保ち続ける。

「見て、嗅いで、肌で感じる温度と湿度のバランスが頼り。キノコ栽培は日々菌との戦いで。」
職人としの経験と、研ぎすまされた感覚が要求される仕事を一人、黙々とこなしてゆく。
一見は華やかな面持ちの健太郎さんだが、嫁の暁子さん曰く、「中身はいたって地味なキノコ職人」だ。

Feel the condition with his five senses

When I opened the cultivation room, I felt sour smell of mushroom growing.
Bottles of mushroom seed planted are neatly lined up.

Mr. Masujima checks each bottle very carefully, open the cap of bottle and sniff it.
He has to judge whether it is ready to take it to next room to grow it or not,
and whether there is no other bacteria by just smell, because it is not visible.

The walls of the cultivation room are disinfected by harmless food additive,
but it should not be used too much.
“The important thing is to check and adjust the right condition for mushroom to grow up,
such as temperature and humidity with many senses such as eye, nose, hand, etc.
"Growing mushroom is communication with Fungus.” He said.

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工場には、かすかにキノコの香りが立ちこめている。

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培養室でキノコの選別をする増島健太郎さん。

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美しい、白あわび茸。

[ 百姓品質 ] を守り続ける反骨精神


高校卒業後、東京で一年間のバンド活動を経て地元に戻り、見よう見まねで仕事を覚えた。
嫁を迎え、代替わりも目前に先代が急逝した。

師を失った健太郎さんを支えたのが、先代の口癖、
「オレらはただの百姓じゃぁないほこり高い水呑百姓だ」という言葉。
「百姓には人の口に入り、体を造るものを作っているというプライドがある」からこそ、安心・安全に
とことんこだわりたいという。
「座右の銘に独立独歩犬ふぐり」
先代が齢50を過ぎて始めたという俳句には、農に携わってきた人間ならではのするどい眼差しや、思い
を貫く反骨精神が見え隠れする句が多い。

「手間暇かけて作ったものを、食を大切に考える人に食べてもらい、美味しいと言ってもらう。
そんな、あたりまえの環境を農家に取り戻したい」から、売り先を自ら開拓し、情報も積極的に発信する。
現状に満足して留まらない反骨の「キノコ職人」のDNAは、健太郎さんにも受け継がれている。

“Hyakusho" Spirit

His father used to tell Mr. Masujima,
“We are not just farmers. We are creating something which will be part of people’s life.
That means we are Hyakusho. And I am proud of the job.”

Mr. Masujima was influenced by the words, and felt
“We have to produce safe and good quality food by natural way.
And It will be so nice if people taste the real food and feel happy.”

He also visits many places to get new information and trends, to cultivate new style as farmer.

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先代の遺句集、『麦を踏む』の1ページ。土と共に季節の風を感じながら生きた、百姓の思いがつまっている。

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先代の増島正昭さんと、遺句集「麦を踏む」。

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こだわりを貫き、新しいものに挑戦し続ける。

夫婦の会話は いつも、農業の未来について


二人で何か新しいことを始めたいよね。」
名刺の肩書きも「嫁」の暁子さんとの会話は未来志向。農家はどこも後継者不足。
える、楽しい、やりがいのある農業でければ、農家に未来はない。

デザイナーとしても活動している暁子さんのセンスとコミュニケーション力は、農家自身も情報発信力を
もたなければと考える健太郎さんにとってこのうえない力となっている。
思いを同じくする地元の若手生産者らと手を組み、イベントを企画し、得意の音楽で盛り上げるなど、奔走する。

365日、休む暇はない。健太郎さん曰く「後戻りのできない絶叫マシンに飛び乗ったような刺激的」な現状の
風景を暁子さんと二人、日々の生活を真面目にコツコツと積み上げながら、コマ送りで眺めているような気分。
辛いと思うこともある。それでも、今は、やりがいのある農業を体現すべく、走り続けてゆく覚悟だ。

Creative farming for the future

“We should start something new.”
Mr. masujima’s wife, Akiko said to her husband.
Her way of thinking is always positive and cheerful.

In Japan, population of farmers is declining because it is very hard to earn enough money
to afford to support family.
If they can’t afford to support family, they can’t continue farming as job.
Akiko has good skill as graphic & communication designer, such her skill and character
is the big help for her husband to cultivate new style.
They set up an event with other young farmers, playing music and introduce their products.
“We have no time to take days off, but everyday is so exciting.”
Sometime they face to tough situation, but to make their dream come true,
they continue to try new thing, supporting each other.

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オーナーの増島健太郎さんと、妻の暁子さん。二人三脚の挑戦は続く。

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増島農園のロゴは百姓の「百」をアレンジしたもの。

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豊かな自然に囲まれた、キノコ農園。


増島農園
「誇り高き百姓品質」。誇りをもって、キノコ作りをする。

先代の口癖だった言葉、「愚直にやれ。誇り高き百姓なのだから」。
ここ日本の地で、百姓は代々共に生き、暮らしてきたことを忘れず、
「人様の口に入るものを、誠実に、一生懸命につくる」
という精神を大切にしているキノコ百姓だ。

コプリーヌや白あわび茸の他、珍しく味わい深いキノコをつくっている。

有限会社 増島農園
〒410-2124 静岡県伊豆の国市原木932
055-949-4655
http://masujimanouen.com



増島農園のキノコが食べられるレストラン
六本木農園

全国のこだわりの生産者さんが丹精こめてつくった素材をふんだんに使った料理を提供している六本木農園。
2014年12月のメニューでも、増島農園のキノコを使った料理が楽しめる。
今回は増島農園の『たもぎ茸』と『やなぎ松茸』が、コース料理のメイン、『大山鶏と久松さんのエロうま野菜で作るダッカルビ』と
『三度美味しい みやじ豚のとろとろレンコンしゃぶしゃぶ』に使われているそう。
増島農園さんのこだわりのキノコを是非味わってほしい。
※季節によりメニューの内容が異なります。 ※時期により取り扱いがない場合もございます。詳細は店舗におたずねください。

六本木農園
住所 東京都港区六本木6-6-15
電話 03-3405-0684
http://www.roppongi-nouen.jp
※ 2014年年内は12月29日まで営業。