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野菜と米のおいしさ極め人 メリーファーム
Merry Farm

後編 夢は叶えてからが面白い。おいしさの答えは、もっと先にある。

Answer for the Source of deliciousness

前編  おいしさを追い求めたら、伝統野菜にたどり着きました。

おいしい米は、技術ではなく、土地が作る。


メリーファームのある八ヶ岳の南山麓、北杜市長坂町の旧秋田地区は、昔から秋田米と呼ばれる格別に
おいしい米の産地として知られている。
特に、泉さんの田んぼがある八ヶ岳からの湧き水が流れる川沿いの一角は、地元農家の誰もが知っている
旨い米が実る至宝の土地だ。

「おいしい米は技術じゃなくて土地が作るものなんですよ」
と謙虚に語る泉さんは、さらなるおいしさを追求するため、水田ではむずかしい化学農薬や除草剤を使わず、
ハサ架けによる天日干しで、じっくり稲を乾燥させる昔ながらの手法の米作りに挑んでいる。
粒揃いの照りと艶があり、甘みともっちりとした食感が天下一品の秋田米が収穫される。

泉さんは、米作り体験を通して育てる喜びと本物の米を味わってもらおうと、会員制田んぼオーナー制度、
「八ヶ岳お米クラブ」を立ち上げている。
田植えから稲刈りまで随時参加でき、収穫した米を優先的に購入できる仕組みだ。常連さんから初めての人
まで、毎年、この地で収穫の喜びを分かち合う光景は、メリーファームの風物詩となっている。

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八ヶ岳から湧き水が注がれる旧秋田地区。

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機械をひきながら、稲穂を束にしてまとめる。ハサ架けの準備。稲穂を傷つけないように、丁寧に収穫する。

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この湧き水が美味しさの秘訣となる。


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一束づつ丁寧に天日干しをする八ヶ岳お米倶楽部。稲穂の香りを感じながら。

おいしい野菜の基準とはなんだろう?


泉さんが、頭の片隅でつねに意識している言葉だ。

それは、品種であったり、安全な栽培法であったり、時代や場所によっては値段であったり、一緒に食べる人
との関係であったりする。
今の段階での答えのひとつが、伝統野菜であることは間違いない。
では、どうやって栽培する?もっとおいしい品種はないのか?無農薬の先には何があるのか?
答え探しのひとつが、土壌にあると泉さんは考えている。

最近注目しているのが、植物の根に共生する微生菌、エンドファイトだ。
豆科の植物と根粒菌の共生関係にみられるように、他の植物においても微生物との共生が成り立っているのは
明らか。農薬に頼らず植物そのものの力を引き出し病害虫に強い野菜をつくるための土壌作りを、発酵を
キーワードに据え、酵母菌、乳酸菌、納豆菌などあらゆる発酵を使って堆肥を作り畑で試すなど、泉さんなり
に試行錯誤の実験を繰り返している。

メリーファームにとって、土壌作りはおいしい野菜づくりに欠かせない永遠のテーマだ。

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撓わに実った稲穂。無農薬の田んぼにはトンボが遊びにくる。

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大地の母のような眩しい笑顔を見せる泉さんの妻、文江さん。

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天日干しをするためハサ架けをした稲穂。整然とした稲穂が夕日に染まる。

叶えた夢の先に見えてくる、課題と目標。


2人の子どもたちはすでに独立して夫婦で里山で農業暮らしを営む泉さん。
就農の夢は果たしたが、その眼差しは次なる課題と目標に向けられている。

実際問題、農業だけで食べて行くのは大変だと泉さんは語る。
周囲の農家はほとんどが兼業農家。跡継ぎとなるべく子どもたちは、都会に出て働き、週末農業を手伝いに
帰ってくるのがせいいっぱい。いまや、この地区の農家の平均年齢は70才を有に越えている。

「このまま後継者がいなくなれば、荒地だらけになってしまう」
と憂う。八ヶ岳を望む美しい里山も農業が廃れて人が住まなければ荒れてしまう。

農業にトライしてみたいと思う人は少なからずいる。が、さまざまな規制や周囲の反対もあり諦めて
しまう人たちにとって、泉さんの生き方は力になる。
新規就農しやすい環境と条件が整えば、農業のかたちも変わってくるかもしれない。

12月いっぱいで畑仕事を終え、春先まではメリーファームのこれからを考える時間に当てる。
「どうすれば、より、おいしい野菜を作れるのか?
 何を作りどう販売すれば、喜んでもらえ、ビジネスとしても成り立つのか?」

叶えた夢をさらに高みに引き上げる策を練る、大切な時間だ。

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こだわりを貫き、新しいものに挑戦し続ける。

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泉さんの農作業を支えてくれるトラクター。大切な相棒だ。

農家だけが知っている、本当においしい野菜もある。


メリーファームの野菜は、噂を聞きつけた有名レストランのシェフが直接買い付けに来るほか、
近隣の直売所をはじめ、都内の各地で開かれるマルシェにも出店し、お客様との対話を通して販売している。

泉さんや奥さんの文江さんが直接店頭に立つ事もあるが、最近は、メリーファームの野菜の美味しさを知り
売りたいという八百屋が都内から車を飛ばして直接畑に買い付けに来る。あまり店頭では見かけない野菜が多いだけに、
食べ方やおいしさ、泉さんの野菜作りに込めた想いをきちんとを伝える接客力が必要になってくる。
「イボイボの見た目のせいか、四川きゅうりなどは、置いておいてもなかなか売れない。
でも、きゅうりの中で僕は一番おいしいと思いますよ。」 

おいしくても売れない野菜は作らなくなってしまうのが農家の性。それだけに、農家だけが知っている本当においしい
野菜は直接お客さんに伝えたい。逆にお客さんから食べ方を教えてもらうこともあり、接客を通して学ぶことは多いという。

野菜を作る人、買う人、調理する人の間で、おいしさのやりとりができる農業を楽しむ泉さんは充実した今を生きている。

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泉さん手作りのハウスから野菜を送り出す。

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のびのび育った野菜たちを新鮮なうちに売り場へ。

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常にポジティブな泉ご夫妻。お互いの笑顔が大きな心の支えとなっている。

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いつも研究熱心な泉さん。土と対話しながらチャレンジし続けている。

メリーファームは
八ヶ岳南麓の田んぼも畑も自然がいっぱい残っている里山にあります。
食材の美味しさがそのまま食卓につながるスローフードの野菜づくりを大切にしています。

野菜畑のご案内
山梨県北杜市の八ヶ岳南麓で標高差を利用した農薬を使わない野菜を栽培しています

伝統野菜の栽培
野菜の美味しさを求めてたどり着いたところには伝統野菜、在来種の野菜がありました

除草剤を使わないお米の栽培
美味しさを求めて農薬、除草剤を使わない昔ながらの天日干しのお米づくりをしています

八ヶ岳お米クラブ
田植えから秋には皆さんで天日干し作業とハーベスターを使って脱穀をいたします

メリーファーム
〒409-1501山梨県北杜市大泉町西井出8240-5022
0551-38-0422
http://merryfarm.web.fc2.com